「ネトフェミ」は存在するのか

お正月に炎上していた西武に続き、LOFTのバレンタインキャンペーンがインターネッツで絶賛炎上しています。そこで、「ネトフェミ」というものが広告を取り下げさせたということを書かれている方がいるのですが..

 

 最初は僕も「まあ広告だし批判を受ければ撤回するのは当然だよね」という考えの人間でしたが、今はもう「批判を受けようがあの広告は撤回すべきではなかった。広告を撤回させたネトフェミ共に、その声に安易に屈して広告を取り下げたLOFT、両方クソである」とすら思うようになっています。 

amamako.hateblo.jp

 

「ネトフェミ」って何ですかね?実在するんですかね?

 

 

 

このブログでLOFTのバレンタインキャンペーンと比較されているのがアメリカ・ジレットの広告です。

 

www.youtube.com

 

この広告は素晴らしかったですよ。「ジレット」といえば、「マルボロ」みたいに、「男くさい」表現の広告を作ってきた。男性を型にはめる、ステレオタイプを作り出す側だった。それが、「男(人間)が得られる最高のもの」とはこれだったのか?と自問するところからCMは始まります。

 

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ステレオタイプな男性像をぶち破って出てくる若い男性たち

 

「今まで普通に行われてきたことはセクハラだったんだ」「性別なんて関係ない、人間として正しいことをしよう」というメッセージを打ち出したんです。

 

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”セクハラ行為”は公然のものとして行われてきた

 

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「男なら男らしく」という言葉は、今まで違う意味で使われてきた。でも、もうその時代に戻ることはない。なぜなら、我々は男性(人間)の最も素晴らしい部分を知っているからだ。

 

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女の子を気軽にナンパしようとするヤツがいたら、止めよう。気軽なナンパ、実は女子にめっちゃ嫌がられてますから。

 

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「男の子は喧嘩するものだ」なんて思い込みはやめよう。暴力じゃない方法で解決法を見つけよう。

 

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なぜなら、今の時代のこどもたちが見るものが、次の時代の男(人間)を作っていくのだから

 

っかーーー!!!!最高!!この広告が最高なのは、「男性」を「男性らしさ」という牢獄から解き放とうとしているからです。

 

フェミニストを嫌う男の人達は、フェミニストが「女性の権利を守るため」「女性の権利を男性から奪うため」に何かを言ったり行動しているのだと思っています。でもそうじゃないんです。

 

フェミニストは、

 

「女性も男性も関係なく」

「人間が人間らしくあるように」

「女性も男性も大人も子どもも動物も植物も地球も宇宙もみんながハッピーになれるように」

 

なったらいいなと思って、活動しているわけです。男の人が100持っているものをこっちに寄こせと主張しているわけではない。男の人が勝手に背負っているマイナス100を肩から下ろしたら、もしくはわたしがマイナス50を持って上げたら、楽になれるでしょ?そう言ってるわけです。

 

ジレットの広告には、保守的な男性から不買運動などのボイコットが起きたそうです。彼らは、女たちが「男から奪う」のだと思っている。でもフェミニストの本来の活動の真意は、男が楽になることで、女が楽になることで、大人も子どももみんなが幸せになれるという社会を作ることです。

 

「男らしさ」を疑えというような表現は、学者の議論やアートでさんざん描かれてきたことですが、しかしそのどれも、このジレットの広告のように、その表現を嫌がり、ボイコット運動まで起こすような、男らしさに囚われた男性にもとまで「誤配」されていくことはありませんでした。広告だからこそ、そういう表現を嫌がる=本当にその表現を届けるべき相手まで、届いていったのです。

「広告」こそが、見たくない現実を暴く力となる(LOFTバレンタイン広告について3) - あままこのブログ

 

その一方、LOFTの広告がどうだったのかというと、、

 

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「女子だけって落ち着く〜!」と表では言いながら...

 

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裏では髪を引っ張ったり、パンツ丸出しにしたり、いじわるなこともしちゃってるんだよ☆これがリアルな女の子ダヨ☆

 

みたいな、古臭いステレオタイプを強調するものでした。

 

これを見て、「あはは!正直〜!わかる〜!」と思う人が、どれだけいるのかマジで疑問です。「女の裏面はドロドロ!」なんて、ほんとコンビニコミックの世界ですよ。「リアリティある〜!」「毒があって面白〜い!」ってのは、たしかに80年代の感覚でしょうね、、それこそ、ジレットが否定してきたものですね。

 

 

 

 わたしは広告は嫌なら見なきゃいいので別にいいんですけど、ショッピングバッグ、さっき貼った表が仲良くしてる女の子で裏がつねりあってる女の子なんですよ。

 

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パンツ丸出しの女の子が描いてあるショッピングバッグ、普通に持ちたくないし人にもあげたくないよね、、

 

と、「ジレット」の広告と「LOFT」の広告は性質が違うものなのですが、「パンツ丸出しの女の子が描いてあるショッピングバッグは持ちたくないなあ」と思うこと自体が、「これが「広告」として届けられたからこそ、こういう表現を嫌がる人のところまで「誤配」されていった。」という狙いだとブログの方が描いています。

 

ジレットのボイコットが起きたのは、いままで作られてきた「男らしい」ステレオタイプの殻に守られてきた既得権の人たちが怒ったからです。いっぽうLOFTのほうは、「何十年も前の(コンビニコミックレベルの)ステレオタイプ」を打ち出し、「いやだなあ」と思われている。それなのに「良薬口に苦しなんだゾ!」と言われるのは、意味不明だなと思います。

 

ですが、当たり前のことですが、自分がハッピーになれる、心地よい甘言だけを聞いて生きていくことは、いけないことです。そうやってフィルターバブルの中に閉じこもり、自分と同じ考えの者同士で傷をなめあっているうちに、考え方はどんどん過激かつ狭量なものになっていくからです。 

「広告」こそが、見たくない現実を暴く力となる(LOFTバレンタイン広告について3) - あままこのブログ

 

そして、LOFTの広告を潰したのは「ネトフェミ」だと。果たして「ネトフェミ」は存在するのでしょうか。女性が「いやだと思ったもの」を「いやだと思いました」と言っただけで「良薬口に苦しだ!」と説教されているのではないでしょうか。それこそが、ジレットの広告の冒頭でやられている”無意識なセクハラ”なんじゃないかなと思いましたが、どうなんでしょう。

 

以上です。

 

お口直しのヨンスを置いておきます。

 

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